ハーミットイン 冒険の記録

世界のオールドスクール・ファンタジーミニチュア(28mm)と、水溶性カラー「コートデアームズ」のセレクトショップ「ハーミットイン」のブログ。

みぎや ひだりの だんなさま…

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街の広場や裏路地で、うらぶれた姿をさらす者を見ることがあるだろう。彼らを軽蔑するのはたやすい。だが、そうする事の愚かさを、君ほどの者なら知っているはずだ。

 

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アドベンチャラーズガイド:窮する者たち

無情なるこの世界では、怪我や病気、戦災などで、二度と働けぬ身となってしまうことなど珍しくもない。あるいは単に運がなかったというだけで仕事にあぶれ、どうしようもなくなる者も少なくないだろう。こうした者たちに残されているのは、もはや乞食に身をやつし、他者からの施しによって生をつなぐ道だけだ。

 

地縁に結ばれた農村でこそ滅多に見られないものの、人の集まる都市の汚い裏路地などは、それこそ乞食であふれ返っている。彼らは各宗派の教会が営む救貧院や、酔っ払いが気まぐれに恵んでくれる小銭で日々をしのいでいるが、それでも飢えや病であっけなく死ぬ者が後を絶たない。社会の落伍者であり、見る者にある種の後ろめたさを抱かせる乞食たちは、大多数の市民から忌み嫌われ、ひどい場合には憂さ晴らしの暴力で死ぬことすらある。悲しいかな、その意味では乞食もまた、貴族や商人、職人や農民と同じく文明社会の一部であり、その歪みを押し付けられているのだ。

 

とはいえ、何事にも裏があるのも世の常というもの。君が乞食たちを「哀れな連中」としか思っておらず、ましてやあからさまに軽蔑しているようなら、愚かと言うほかあるまい。実は乞食たちも、裏では同業者組合を営んでいるのだ。なにしろ世間の人々には、無意識に「いないもの」とされている乞食たちだけに、公の場であればどこにでも、気取られることなく潜伏できる。彼らがそこで見聞きした事実を共有し、時には国すらもまたぐ巨大な情報網を持っているとしたら? 王侯貴族や教会権力、あるいは豪商たちが、彼らを排斥するどころか、こぞって施す理由を「善意や信仰に端を発する」ものだと、本当に信じているのかね?